相手を知ることでより見えてくることがある。
相手を知ることでより楽しめることがある。
一歩踏み込んで試合を楽しむためのご提案、hamatra match preview。
今回は明治安田生命J1リーグ第6節 ジュビロ磐田編。
試合情報
2017 明治安田生命 J1リーグ 第6節
vs ジュビロ磐田
2017/04/08(土) 19:00キックオフ
@ 日産スタジアム
(年チケ開門 16:30 | 一般開門 17:00)
・ホームゲームイベント情報 | 横浜F・マリノス公式サイト
・チケット情報 | 横浜F・マリノス公式サイト
分析対象試合
2017 明治安田生命 J1リーグ 第5節
ジュビロ磐田 3-1 清水エスパルス
@エコパスタジアム
得点者:6'森下俊(磐田) 37'ムサエフ(磐田) 48'川辺駿(磐田) 90+4'鄭大世(清水)
公式記録/レポート
www.jleague.jp
プレー傾向:ジュビロ磐田
守備
- 最終ラインを自陣20~25mで固定。トップとトップ下で攻撃方向を制御しつつ、コンパクトな4-4ゾーンを形成。
- サイドハーフとサイドバックで縦の関係性を密に保ち、サイドのスペースに蓋をする意識が強い。
- 押し込まれると中盤が最終ラインに吸収されて2ラインを保てない傾向。
攻撃
- 1トップの川又堅碁への楔が第1の選択肢。サポートのタイミングがはまると流れるような攻撃に発展。
- 守→攻への切り替えがスムーズ、アウトサイドのスピード豊かな選手を軸に複数人が絡むカウンターは武器。
- 川辺駿・ムサエフのダイナミックな攻撃参加にクオリティ。
- 全体的には迫力不足、シュートに繋がるシーンが少ない。
- 脅威となるセットプレー。今期既に3得点、全得点の6割。
全体
華麗なパスサッカーのタクトを振るってきた天才レフティ・名波浩のイメージとは一線を画すチームとなっている印象。
ここまで4戦トップ下として出場していた中村俊輔を右サイドにスライドさせ、清水のストロングポイントである左サイドを牽制する采配を振るったことを見ても、相手のストロングポイントを見据えた上で自らの形を崩すこともいとわないリアリスティックな一面が垣間見える。
技術力・機動力を兼ね備えた中盤の構成を鑑みると、もう少し主導権を握りたいのが本音かもしれないが、相対的な力関係として相手に主導権を握られる時間が長く、シュート数でも相手の後塵を拝すことが多いとなれば、それもまた致し方なし、というところか。
拠り所となっているのはセットプレー。中村俊輔の多種多彩かつ高精度のキックはいまだ健在。敵に回すと脅威以外の何物でもない。
キーマッチアップ
中村俊輔 vs 天野純
横浜の顔として長らくチームを導いてきた中村俊輔が日産スタジアムに帰ってくる。未だ見慣れないサックスブルーを纏(まと)い、対戦相手として。
日本を、世界を、そして横浜を魅了してきた彼のプレーの特徴を今更書き連ねる必要もないだろうが、試合の機微を感じ取る経験や変幻自在の技術、創造性はいまだ健在で、その価値を誇示(こじ)し続けている。
その偉大な背中を追い続け、時に阻まれつつも、一歩一歩成長してきた天野純にとってターニングポイントとなる試合かもしれない。
昨季終盤に見せた可能性と輝きをこの試合で再び示し、「#超えていく」ことが出来れば大きな自信を掴める。自らの価値を高めるには、こういう試合で結果を残してこそ。その機会は多くはない。
偉大なるレジェンドか、可能性を示した跡を継ぐも者か、左足でスタジアムを沸かせるマッチアップに注目だ。
マリノスのキープレー
インナーラップ
磐田の守備の傾向として、サイドの縦関係で完結させようとする傾向が強く、センターバック・ボランチのスライドが遅れることが散見される。
そこで有効になるのがインナーラップ。
ハイサイドに起点を作り、強い警戒を逆手に取って内側のスペースに飛び出すことで相手の脇を突きたい。
※インナーラップ=ボールホルダーの内側を追い越すフリーランニング。サイドバック-センターバックの間のギャップを突く。
総括
脅威となるカウンターへの移行を許さず、不得意な遅攻を強いた上で高い位置からプレッシャーを掛けて攻撃構築のクオリティを下げ、サイドにはきっちりと蓋をして閉塞させる。
鹿島戦で効果が示された後の数試合、他チームも取り入れた「横浜対策」に苦しむ中で、磐田もまたその策を採ってくるであろうことは明白。
対策も、苦境も全て「#超えていく」。それがこの25周年記念試合であることを願ってやまない。
text:いた(@itaruru)
edit:nari(@fmbh_nari)