相手を知ることでより見えてくることがある。
相手を知ることでより楽しめることがある。
一歩踏み込んで試合を楽しむためのご提案、hamatra match preview。
今回は、2018 明治安田生命J1リーグ第15節 V・ファーレン長崎編。
試合情報
2018 明治安田生命 J1リーグ 第15節
vs V・ファーレン長崎
2018/05/19(土) 14:00キックオフ
@ 日産スタジアム
(年チケ開門 11:30 | 一般開門 12:00)
チーム成績状況
現在の順位
横浜F・マリノス
順位 | 勝点 | 試合 | 勝 | 分 | 敗 | 得点 | 失点 | 得失 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
15 | 14 | 14 | 3 | 5 | 6 | 18 | 22 | -4 |
V・ファーレン長崎
順位 | 勝点 | 試合 | 勝 | 分 | 敗 | 得点 | 失点 | 得失 |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|
12 | 17 | 14 | 5 | 2 | 7 | 19 | 21 | -2 |
リーグ直近成績
横浜F・マリノス
直近 | ← 2試合前 |
← 3試合前 |
← 4試合前 |
← 5試合前 |
---|---|---|---|---|
△ 1-1 G大阪(H) |
△ 1-1 名古屋(A) |
● 1-3 磐田(H) |
◯ 3-0 鹿島(H) |
● 1-2 札幌(A) |
V・ファーレン長崎
直近 | ← 2試合前 |
← 3試合前 |
← 4試合前 |
← 5試合前 |
---|---|---|---|---|
◯ 3-0 名古屋(H) |
● 1-3 C大阪(A) |
● 1-2 鹿島(A) |
● 0-2 広島(H) |
◯ 2-1 磐田(A) |
過去の直接対戦成績
vsV・ファーレン長崎 初対戦
(うち、ホームゲーム:初対戦)
分析対象試合
2018 明治安田生命J1リーグ 第14節
V・ファーレン長崎 3-0 名古屋グランパス
@ トランスコスモススタジアム長崎
得点者:3'&49'中村慶太 76'鈴木武蔵
公式記録/レポート
www.jleague.jp
プレー傾向:V・ファーレン長崎
守備
- 全体距離をコンパクトに保つことに重点を置き、ラインを安易に下げずに守備陣形を組む。プレス開始位置も過度にスタート位置を高くしない。
- 外に誘導し、出てくるパスアングルを限定した上でのボールサイドへのアプローチ、長い楔に対してのインターセプトなど、出足の良さを際立たせる組織守備。しっかり寄せ切って前を向かせず、プレスバックを加えて奪う狙い。
- 押し込まれたときはボックス内に人数を掛け、人垣を作る。
- CKの守備は、ニアにストーンを一枚置いたマンツーマン。
攻撃
- 長身のファンマへ、またタッチライン際のスペースへ走りこむウイングバックへ、と長いボールを用いてボールを前進させる。
- 次々とスペース・ギャップに走りこみ、崩しの選択肢となる。ウイングバックが内側へ、2トップが外へ流れるなど流動的な動きが目立つ。
- サイドからのクロスは入れるタイミングが速い。カウンター時のフィニッシュも同様。崩し切るというより、やり切る姿勢。
全体
経営難に陥りクラブの存続すら危ぶまれていたところからの「V」字回復、そして「ゼイワン(J1)」昇格。シンデレラストーリーを地で行く長崎の勢いが見事に出た名古屋戦。
全員が分け隔てなくハードワークし、攻守にアグレッシブな姿勢を保つことで常に先手を取り、その勢いを攻撃に繋げていく。アプローチからのプレスバックで名古屋が有するタレント性を発揮させる前に遮断し、シンプルなポスト&スペースランで次々と相手の最終ラインを攻略する前半のパフォーマンスは圧巻で、名古屋GKミチェル・ランゲラックの好セーブがなければ前半で試合は決まっていた。
また、この連戦のさなか、目に見えるような運動量の低下が見られなかったことについても触れておきたい。ファイトオーバー(タスクを越える範囲での過度なプレス)というようなシーンが少なく、全体距離を意識しつつアグレッシブな姿勢を発揮すべき箇所を見定めてエネルギーを使っているような印象を受けた。
ひたむき、かつ、組織としての統一感のある長崎。難敵であることは間違いない。
キープレーヤー
No.9 ファンマ
剛胆な髭がトレードマークの188cmの長身FW、と聞くと典型的なセンターフォワードと思われるが、献身的な姿勢でチームを支える好選手。
長いボールに対して身体を張りつつ起点となり、バイタルでのポストでチームが意図するダイナミズムを引き出すなど、サイズを活かしたプレーをしつつも、サイドに流れてクロス、カウンターを仕掛け股抜きのスルーパスで得点まで演出する幅の広さも兼ね備える。
守備もしっかり。最前線の選手のタスクとなる攻撃方向の制限はもちろん、サイドバックのオーバーラップに対して自陣深くまで戻ってケアする姿には、フォア・ザ・チームの姿勢が垣間見えた。
ここまでJ1では1得点とゴールにこそ恵まれてはいないが、Jリーグ全般的に長身でパワーのある選手に対しての対応に苦慮する傾向を考えれば、今後に爆発の予感も漂う。このスペイン人FWに対していかに対処するのか、ゲームの趨勢を握る要素となりそうだ。
キープレー
ポゼッションの質
組織としての質を備え、攻守にアグレッシブ。ポゼッションをするチームにとって、長崎は難しい相手である。虎視眈々と網を張り、奪えば一気にカウンター。彼らからしてみたら低い位置からショートパスで組み立ててくる相手を決して苦手とはしていない。
しかし、自分たちのコンセプトにおいて、ポゼッションは欠かせない要素。ディティールを駆使してパスを繋ぎ、ゲームをコントロールすることに重きを置いているだけに、相手が網を張っていようと変わらない。
カウンターを恐れて、チャレンジする姿勢を失っては何も得れない。「虎穴に入らずんば虎子を得ず」、勇気をもってトライしてもらいたい。
総括
狂気の15連戦もこの試合でようやく終わる。
苦しい思いも、歯がゆい思いもしたけれど、試合がある幸せな日常から当分遠ざかることに一抹の寂しさもあったり(ルヴァンカッププレーオフ及び天皇杯はありますが)
サッカーのある日常、F・マリノスのある日常を噛みしめて、この一戦を存分に楽しみたい。その締めくくりに勝利があったなら最高だ。
text:いた(@itaruru)
edit:nari(@fmbh_nari)