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今回は、2019 明治安田生命J1リーグ第21節 清水エスパルス編。
試合情報
2019 明治安田生命 J1リーグ 第21節
vs 清水エスパルス
2019/08/3(土) 19:00キックオフ
@ 日産スタジアム
(年チケ開門 16:30 | 一般開門 17:00)
チーム成績状況
現在の順位
順位 | チーム名 | 勝点 | 試合 | 勝 | 分 | 敗 | 得失 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | F東京 | 42 | 20 | 13 | 3 | 4 | 14 |
2 | 横浜 | 39 | 20 | 12 | 3 | 5 | 10 |
3 | 川崎 | 38 | 19 | 10 | 8 | 1 | 19 |
4 | 鹿島 | 37 | 19 | 11 | 4 | 4 | 18 |
5 | 大分 | 32 | 20 | 9 | 5 | 6 | 5 |
6 | C大阪 | 31 | 20 | 9 | 4 | 7 | 8 |
7 | 札幌 | 31 | 20 | 9 | 4 | 7 | 4 |
8 | 広島 | 29 | 19 | 8 | 5 | 6 | 10 |
9 | 浦和 | 27 | 19 | 8 | 3 | 8 | -7 |
10 | 名古屋 | 26 | 20 | 7 | 5 | 8 | 2 |
11 | G大阪 | 24 | 20 | 6 | 6 | 8 | -4 |
12 | 湘南 | 23 | 20 | 7 | 2 | 11 | -7 |
13 | 仙台 | 23 | 20 | 7 | 2 | 11 | -8 |
14 | 清水 | 22 | 20 | 6 | 4 | 10 | -16 |
15 | 神戸 | 21 | 20 | 6 | 3 | 11 | -6 |
16 | 松本 | 18 | 20 | 4 | 6 | 10 | -14 |
17 | 磐田 | 17 | 20 | 4 | 5 | 11 | -12 |
18 | 鳥栖 | 17 | 20 | 5 | 2 | 13 | -16 |
リーグ直近成績
横浜F・マリノス
直近 | ← 2試合前 |
← 3試合前 |
← 4試合前 |
← 5試合前 |
---|---|---|---|---|
○ 2-0 神戸(A) |
○ 3-1 浦和(H) |
○ 1-0 大分(H) |
● 2-4 F東京(A) |
○ 1-0 松本(H) |
清水エスパルス
直近 | ← 2試合前 |
← 3試合前 |
← 4試合前 |
← 5試合前 |
---|---|---|---|---|
● 0-2 F東京(H) |
● 0-1 G大阪(A) |
○ 2-1 神戸(H) |
● 2-4 鳥栖(A) |
○ 2-1 名古屋(A) |
過去の直接対戦成績
vs清水エスパルス
通算: 66戦 29勝 24敗 13分 (91得点77失点)
ホーム: 31戦 10勝 15敗 6分 (40得点43失点)
分析対象試合
2019 明治安田生命J1リーグ 第20節
清水エスパルス 0-2 FC東京 @ IAIスタジアム日本平
得点者:16'大森晃太郎(東京) 30'永井謙佑(東京)
公式記録/レポート
www.jleague.jp
プレー傾向:清水エスパルス
守備
- 4-4のスタンダードなブロックディフェンス。セットして守る意識が強い。
- ロスト時にプレスを掛けて奪うといった意思は薄く、戻るための時間を作る程度。アタッカー陣のアプローチ意識にムラ。
- 押し込まれるシチュエーションでは、撤退してボックス内へ。中盤も追随する形で時にはDFラインに吸収され、人垣を築く。
- スライドの意識が希薄。幅を取られると、SB-CB間のスペースが大きく開く。
- サイドバックの攻撃参加が常態化しているため、トランジッション時にサイドにスペースあり。
- CK守備はフルマンツーマン、ニアにストーン2枚。
攻撃
- 幅を取りつつボールサイドに人数を掛け、細かくパスを交換しつつ前進するポゼッションが軸。
- 苦しくなった時にはドウグラスやヘナト・アウグストのフリックを狙ったフィードで深みを作る。
- 守備時に中盤含めて完全撤退するため、攻撃移行に難。
- ゴールへのアプローチはサイドからのクロス中心。ドウグラスをメインターゲットに、機を見てサイドハーフ・サイドバックもフィニッシュに絡む。
- ハイサイドにポイントを作り、サイドバック・サイドハーフ・トップでトライアングルを形成。テンポのよいコンビネーションで深い位置に侵入することを意図。
- セットプレーに迫力あり。
全体
サッカーにおける4つの局面をご存じだろうか。
"攻撃" ・ "攻撃から守備への切り替え" ・ "守備" ・ "守備から攻撃への切り替え"
この4つの局面に清水のサッカーを照らし合わせた時、1つの局面(攻撃)でのコンセプトや意図は見えるも、残り3つの局面(守備・攻→守・守→攻の切り替え)に置ける明確なコンセプトや戦略的意図を見いだせなかった。
コンセプトがはっきりし、明確な意図が見えているのは攻撃の局面。元々のクラブカラーとも合致し、エースプレーヤーの得点パターンとも合致するが故に嵌った時の迫力は目を見張るものがある。それこそ、その迫力に押しつぶされたからこそ、よくわかる。
しかし、その攻撃頻度を高めるためのボール奪回であったり、奪った後の攻撃移行については未整備に近い。その結果、悪い流れになったときにはラインを下げて耐えるしかなくなり、なかなか流れを引き戻せない。
彼らがこの順位にいる理由を垣間見た一戦だった。
キープレーヤー
No.49 ドウグラス
まずこのデータを見ていただきたい。
出場試合 (途中出場) |
出場時間 (単位:分) |
ゴール数 | シュート数 | 成功率 | |
---|---|---|---|---|---|
ドウグラス | 16(5) | 1178 | 8 | 37 | 21.6 |
ディエゴ・オリヴェイラ | 20(0) | 1857 | 10 | 52 | 19.2 |
ダビド・ビジャ | 18(0) | 1550 | 11 | 70 | 14.3 |
エジガル・ジュニオ | 16(1) | 1242 | 11 | 51 | 21.6 |
※データ出典元: Football LAB[フットボールラボ]
各々に素晴らしいストライカーであることは間違いないが、ドウグラスが置かれていた状況を鑑みると、驚異的な数値のように思えて仕方がない。
というのも、開幕前に不整脈が発見され、治療のためにピッチを離れなければならなかったからである。
開幕から4試合を欠場、その後も5試合はプレータイムを制限した上での途中出場。その時のドウグラスは、お世辞にもプレーできるコンディションには見えなかった。
しかし、先発出場が出来るコンディションに戻ると、その持ち得る力を存分に発揮。12節から18節まで7試合連続ゴール、横浜も餌食となった。
恵まれたサイズと身体能力を生かした空中戦の強さはご存知の通り。ヘディングもボレーも抜群で、横から入るボールを仕留めることに関してはリーグ随一。大きなストライドを活かしたスペースランニングも迫力十分…彼の存在が清水のストロングポイントの全てといっても過言ではない。
ましてや、今節は"スーパーレスキュー"チアゴ・マルチンスが出場停止。チアゴ抜きでドウグラスを止めることが出来るのか、彼を巡る攻防に注目だ。
キープレー
ゲームコントロール
"悔しい負けから、何を学んで、何を活かしていくのかというところで、絶対ああいう思いはしたくなかったし、そういう強い気持ちを皆持って、あの時間あの負けは無駄じゃなかったと姿勢だったり結果で示すことが出来た。"
神戸戦後の喜田拓也のコメントを見ても、前回対戦時の苦々しい記憶はチームの中に強く刻まれている。
何故、あのようなことが起きたのか。それは相手のハーフタイム時の修正やアクシデントに対応しきれず、相手の勢いに飲まれ、ゲームのコントロールを失ったということに尽きる。
必要となるプレーをチームで緩みなくやりきり、コンセプトを具現化し、試合を支配する。状況に応じ、変化する局面でも意思統一してチームとしてプレーする。
90分+AT、コントロールを失うことなく圧倒してほしい。苦き敗戦が糧となり、血肉となっていることを証明してもらいたい。
総括
インターバルを経てのリーグ戦。梅雨が明け、過酷な夏の始まりだ。
トップスコアラーを失い、主戦センターバックを欠く一戦。ましてや、2週間という時間は対戦相手にとって分析と対策をするに充分な時間だったはず。決して簡単な試合にはならない。
それでもリーグタイトルを狙うならば勝たなきゃいけない。下位に沈むチームに"ダブル"を喰らって優勝なんて口が裂けてもいえない。
日本平の借りは「即」返す、ここ無敗のホーム、日産スタジアムで。
text:いた(@itaruru)
edit:nari(@fmbh_nari)