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今回は、2019 明治安田生命J1リーグ第25節 ガンバ大阪編。
試合情報
2019 明治安田生命 J1リーグ 第25節
vs ガンバ大阪
2019/08/31(土) 19:00キックオフ
@ ニッパツ三ツ沢球技場
(年チケ開門 16:30 | 一般開門 17:00)
チーム成績状況
現在の順位
順位 | チーム名 | 勝点 | 試合 | 勝 | 分 | 敗 | 得失 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | F東京 | 49 | 24 | 15 | 4 | 5 | 17 |
2 | 鹿島 | 45 | 24 | 13 | 6 | 5 | 19 |
3 | 横浜 | 42 | 24 | 13 | 3 | 8 | 11 |
4 | 川崎 | 41 | 24 | 10 | 11 | 3 | 15 |
5 | 広島 | 40 | 24 | 11 | 7 | 6 | 13 |
6 | 大阪 | 37 | 24 | 11 | 4 | 9 | 7 |
7 | 札幌 | 36 | 24 | 10 | 6 | 8 | 11 |
8 | 大分 | 35 | 24 | 9 | 8 | 7 | 4 |
9 | 名古屋 | 31 | 24 | 8 | 7 | 9 | 1 |
10 | 湘南 | 30 | 24 | 9 | 3 | 12 | -6 |
11 | 浦和 | 30 | 24 | 8 | 6 | 10 | -11 |
12 | 神戸 | 29 | 24 | 8 | 5 | 11 | 2 |
13 | 清水 | 29 | 24 | 8 | 5 | 11 | -22 |
14 | G大阪 | 28 | 24 | 6 | 10 | 8 | -4 |
15 | 仙台 | 28 | 24 | 8 | 4 | 12 | -8 |
16 | 鳥栖 | 24 | 24 | 7 | 3 | 14 | -19 |
17 | 松本 | 23 | 24 | 5 | 8 | 11 | -14 |
18 | 磐田 | 18 | 24 | 4 | 6 | 14 | -16 |
リーグ直近成績
横浜F・マリノス
直近 | ← 2試合前 |
← 3試合前 |
← 4試合前 |
← 5試合前 |
---|---|---|---|---|
○ 5-1 名古屋(A) |
● 1-2 C大阪(H) |
● 1-2 鹿島(A) |
● 0-1 清水(H) |
○ 2-0 神戸(A) |
ガンバ大阪
直近 | ← 2試合前 |
← 3試合前 |
← 4試合前 |
← 5試合前 |
---|---|---|---|---|
△ 2-2 鹿島(A) |
△ 1-1 磐田(H) |
△ 1-1 広島(H) |
△ 2-2 神戸(A) |
△ 2-1 名古屋(A) |
過去の直接対戦成績
vsガンバ大阪
通算: 74戦 36勝 24敗 14分 (120得点99失点)
ホーム: 36戦 18勝 10敗 8分 (59得点43失点)
分析対象試合
2019 明治安田生命J1リーグ 第24節
鹿島アントラーズ 2-2 ガンバ大阪 @ 県立カシマサッカースタジアム
得点者:33'アデミウソン(G大阪) 44'セルジーニョ(鹿島) 58'伊藤翔(鹿島) 73'pパトリック(G大阪)
公式記録/レポート
www.jleague.jp
プレー傾向:ガンバ大阪
守備
- 相手を迎え撃つ5-3のブロック。ハーフラインから守備を開始。2トップもポジションを下げて守備に参加。
- 中盤3枚がスライドしながらスペースを埋める意図はあるものの、2トップがプレッシャー掛けきれないポイントに対してインサイドが食い付いてしまうなど、曖昧な側面も。
- 全般的に「人を揃える」ことに重点、コンパクトな陣形でプレースペースを制限し、ミスを誘発させることを意図。制限・誘導し、奪いどころの設定するような守り方ではない。
- CKの守備はフルゾーン、ニアにパトリックを据える。
攻撃
- 幅を取りつつ、ゆったりとしたポゼッションでボールを前進。食い付かせ、細かいパス交換でいなし、スペースに侵入することを意図。
- 崩しの形が豊富。パトリック・アデミウソン・宇佐美貴史・倉田秋の4枚が自由に動き、クオリティの高い選手達が持つ感性と技術を全面に押し出す。即興的。
- ポジティブトランジッション時のプレーに再現性あり。1stプライオリティは2トップへ。後方の選手はランニング。うまく収まると、カウンターに発展。
全体
非常に活発だった2019年の夏の移籍市場。
その影響を最も受けたクラブのひとつがガンバである。
エースとして最前線で存在感を示し続けていたファン・ウィジョがジロンダン・ボルドー(フランス)へ旅立ったのを皮切りに、ブレイクを果たした食野亮太郎がマンチェスター・シティ(イングランド)、中村敬斗がトゥエンテ(オランダ)へと次々と海外へ旅立つことに。更にはクラブを長年支えてきた今野泰幸(→磐田)、オ・ジェソク(→FC東京)も移籍を決断。結果、11名がクラブから離れるという非常事態となってしまった。
この苦しい状況下、ガンバはかつての栄光を知る選手を呼び戻した。一時は日本代表の軸となる可能性を示していた井手口陽介、タイトルの味を知るパトリック、そしてガンバの最高傑作・宇佐美貴史。この窮地を脱するために「回帰」の道を選んだのかもしれない。 現時点では新戦力を組みこんでの「落としどころ」を探している感は否めない。これだけメンバーが変われば、様々な側面での試行錯誤は避けられないからである。
エジガル・ジュニオの負傷離脱や天野純・三好康児の移籍で新たな答えを探さざるを得なかった横浜もそうだった。
3連敗という代償を払い、横浜は一つの答えを見出した、5連続引き分け中のガンバはいかに。
キープレーヤー
No.33 宇佐美貴史
復帰会見にて「2度目もダメだった」とコメントを残している通り、2度目のドイツ挑戦も自らの価値を証明するに至らなかったガンバの最高傑作。
「失敗」という烙印は、成し遂げてきたこと、強いてはイメージをも書き換えてしまう。例に漏れず、今回のドイツ挑戦の失敗を受けて「宇佐美貴史は終わった」と思う人も少なからずいるだろう。
はたして、本当に宇佐美貴史は終わったのか、その答えはこれからのプレーにある。3冠を達成した原動力となり、2015年には19得点をあげたアタッカーがコンディションと試合勘を取り戻したとしたら?彼のドリブル、フィニッシュセンスが錆びついていなかったとしたら?こんなに怖い存在はいない。
降格圏迫るガンバの救世主となれるか、宇佐美貴史のプレーに注目だ。
キープレー
相手を「引き出す」ポゼッション
コンパクトな5-3ブロック…非常に厄介なように聞こえるが、ディティールを詰め切れていないのは明らかである。
特に宇佐美貴史・倉田秋が務めるインサイドハーフのファイトオーバー気味のアプローチを攻略の足掛かりとしたい。2トップが追い切れないところでアプローチに出てくる傾向にあるが、遅れ気味なことも多々。この傾向を利用すれば、高い位置で前を向ける空間が生み出せる。
積み上げてきた変幻自在のポゼッションでガンバのブロックに穴を空けたい。
総括
「8-0で大勝しましたが、我々が手にしたのは3ポイントだけです。いま私が思っているのは、次のゲームは危険だなということです。私はJリーグで14シーズン目ですが、日本人選手のメンタリティーは理解しているつもりです。この勝利を選手たちがどう捉えるのか、そこを心配しています。」
大勝した清水戦後に会見で語ったミシャ・ペトロヴィッチの言葉が胸に刺さる。相手も異なる、チームの方向性も強度も異なる、自分達のメンタリティやコンディションも異なる…前節の大勝が、今節の勝利を担保してくれるわけではないのだ。
手応えを掴めた、懸案の答えを見出した、その自信が慢心とならないように。僕らは勝ち続けることでしか、上に立つチームを追うことはできない。まだ何も得ていない。目の前の一戦を大事に戦おう。
text:いた(@itaruru)
edit:nari(@fmbh_nari)