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今回は、2019 明治安田生命J1リーグ第9節 鹿島アントラーズ編。
試合情報
2019 明治安田生命 J1リーグ 第9節
vs 鹿島アントラーズ
2019/04/28(日) 13:00キックオフ
@ 日産スタジアム
(年チケ開門 10:30 | 一般開門 11:00)
チーム成績状況
現在の順位
順位 | チーム名 | 勝点 | 試合 | 勝 | 分 | 敗 | 得失 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
1 | F東京 | 20 | 8 | 6 | 2 | 0 | 8 |
2 | 広島 | 17 | 8 | 5 | 2 | 1 | 7 |
3 | 名古屋 | 16 | 8 | 5 | 1 | 2 | 10 |
4 | 大分 | 16 | 8 | 5 | 1 | 2 | 5 |
5 | 鹿島 | 14 | 8 | 4 | 2 | 2 | 2 |
6 | 浦和 | 14 | 8 | 4 | 2 | 2 | -1 |
7 | 川崎 | 13 | 8 | 3 | 4 | 1 | 4 |
8 | 札幌 | 12 | 8 | 4 | 0 | 4 | 0 |
9 | 横浜 | 12 | 8 | 3 | 3 | 2 | 0 |
10 | 松本 | 11 | 8 | 3 | 2 | 3 | -1 |
11 | 神戸 | 10 | 8 | 3 | 1 | 4 | -1 |
12 | 湘南 | 10 | 8 | 3 | 1 | 4 | -1 |
13 | 清水 | 8 | 8 | 2 | 2 | 4 | -6 |
14 | C大阪 | 7 | 8 | 2 | 1 | 5 | -3 |
15 | G大阪 | 7 | 8 | 2 | 1 | 5 | -4 |
16 | 磐田 | 6 | 8 | 1 | 3 | 4 | -2 |
17 | 仙台 | 4 | 8 | 1 | 1 | 6 | -6 |
18 | 鳥栖 | 4 | 8 | 1 | 1 | 6 | -11 |
リーグ直近成績
横浜F・マリノス
直近 | ← 2試合前 |
← 3試合前 |
← 4試合前 |
← 5試合前 |
---|---|---|---|---|
● 0-3 札幌(A) |
△ 1-1 名古屋(H) |
○ 3-0 浦和(A) |
△ 0-0 鳥栖(H) |
● 0-2 大分(A) |
鹿島アントラーズ
直近 | ← 2試合前 |
← 3試合前 |
← 4試合前 |
← 5試合前 |
---|---|---|---|---|
○ 1-0 仙台(H) |
● 1-3 F東京(A) |
○ 2-1 名古屋(H) |
△ 1-1 磐田(A) |
○ 3-1 札幌(A) |
過去の直接対戦成績
vs鹿島アントラーズ
通算: 70戦 27勝 33敗 10分 (98得点106失点)
ホーム: 36戦 16勝 13敗 7分 (53得点54失点)
分析対象試合
2019 明治安田生命J1リーグ 第8節
鹿島アントラーズ 1-0 ベガルタ仙台 @ 県立カシマサッカースタジアム
得点者:66'犬飼 智也(鹿島)
公式記録/レポート
www.jleague.jp
プレー傾向:鹿島アントラーズ
守備
- 潰しどころを見極め、ポジションブレイクを厭わずにタイトなアプローチで潰す、マン・オリエンテッドな守備。
- 攻撃時にかなり人数を掛け、ポジションチェンジも頻繁に行うため、ロスト時に中盤に大きなスペースが空く傾向。
- 経験の浅いDF陣の曖昧なポジショニングや判断ミスが穴を作る。右サイドバックの小田の対応の甘さは顕著。
- CKの守備はマンマーク。
攻撃
- 人数を掛けたサイドからのコンビネーション、中央への鋭い楔、前向きに奪ったときのカウンターと、状況に応じたルートで攻撃を展開。
- アタッカー陣は縦横無尽にポジションチェンジを繰り返す。2トップの一角がサイドに流れポイントを作るアクションは約束事に近い。
- DF陣のビルドアップは不安定、パスのズレや弱いパスなどでのロストも。レオ・シルバや永木が引き取る形で攻撃構築。
- 鹿島の攻撃の代名詞ともいえる大きなサイドチェンジは減少傾向。
- レオ・シルバの絶大なる影響力。攻撃構築からの鋭いキーパス、テクニカルな仕掛け、ミドルレンジからのシュートとピッチ全域で縦横無尽にプレーに絡む。まさにボックストゥボックス。
全体
東京戦、我が目を疑いたくなるような光景が繰り広げられた。
ディエゴ・オリヴェイラと永井謙佑に次々と突破を許し、余りにもあっさりと決壊する。積み重なった失点は前半だけで「3」。憎たらしいほど強い常勝・鹿島の見る影もなかった。
しかし、それもそのはず。今の鹿島は極端に若く、経験の浅い守備陣で戦わざるを得ないのだ。昌子源・植田直道という日本代表センターバックが海外へと旅立ったことで層が薄くなっていたところに、内田篤人、山本修斗、伊東幸敏、チョン・スンヒョンと経験のある選手達が離脱中。彼らがプレーするしかない状態にある。
しかし、仙台戦。危うさ・脆さは孕むものの、カウンターやサイドアタックを身を挺して凌ぎ、最も苦き経験をした一人である犬飼智也がセットプレーから決勝点。苦き糧の後に大きな成功体験を手に入れた。
やはり、鹿島は鹿島である。
キープレーヤー
No.15 伊藤翔
鈴木優磨の負傷離脱により得たチャンスをしっかりと掴んだ翔さんは、今や鹿島のエース格である。
鹿島でのプレーを見た印象は一言、「うまい」。
DF間のギャップで止まって鋭いパスを引き出しファーストタッチで抜け出す、相手の視野から外れつつタイミングを計って裏を取る、その一つ一つのアクションはダイナミックでも派手でもないが、相手をよく見て、相手が一番怖い場所でボールを引き出している。凄く巧み。点を取る「極意」を鹿島で掴んだのかもしれない。
5年間籍を置いた古巣との初対戦。「”翔"竜拳」は飛び出すか、翔さんを巡る攻防に注目だ。
キープレー
「マン・オリエンテッド」
鹿島の守備は、「ゾーン」を守る、「スペース」を消すことよりも「人」を捕まえることに重きを置く。ポジションを離れ、スペースを与えるリスクを抱えてでも、人を捕まえ、潰すことに優先順位がある。
局面勝負で勝つことこそ鹿島、脈々と受け継がれる伝統であり、プライドなのかもしれない。
しかし、裏を返せば、相手準拠で自分達の位置が変わってしまう、「動かされてしまう」。この傾向があるから、鹿島に対してはここ数年相性は悪くない。
自分達が動くことで相手を引き寄せ、スペースを作り出す。作り出したスペースを突き、相手の急所を抉る。
新時代に進路を取る横浜が鹿島の伝統を凌駕する、そんなシーンをたくさん見たい。
総括
Jリーグ発足からこれまで、トップディビジョンで鎬を削り続けてきた両チームだからこその「CLASSIC」。
27年間対戦し続け、その多くで煮え湯を飲まされ続けてきた僕らは鹿島を嫌というほど知っている。調子が悪かろうと、多数の負傷者を抱えようと、鹿島は鹿島。粘り強く、狡猾で、勝負所を逃さない。それが鹿島だ。
お互い満身創痍で迎える伝統の一戦。次のページに刻まれる新たな歴史には横浜の勝利を刻みたい。
text:いた(@itaruru)
edit:nari(@fmbh_nari)